「モンドミュージック」ってなに?
(以下、筆者の個人的感想)
モンド・ミュージックとは90年代東京のレトロな「奇妙なムード音楽」のリヴァイバル。
90年代半ば(1995年2月15日)東京で出版された『モンドミュージック』により提唱された、50年代末頃に米国で流行したエキゾチカ、映画音楽、イージーリスニングなどの「ムード音楽」や、スペースミュージックなどの初期電子音楽、その他実験的音楽など、世界各地のへんてこりんな音楽をかき集めた、オタクっぽいラウンジミュージックである。由来は1962年イタリア映画「世界残酷物語(monde cane)」から。「モンド(monde)」とはイタリア語で世界の意味。
(※ちなみに、90年代東京のクラブミュージック、アシッドジャズ系の「Monde Grosso」とは別。また、もう少し最近の例だと、ビッグバンセオリーなどの連中が好きそうな音楽といえばある程度近いイメージもかもしれない。)
1995年2月東京でひっそり産声をあげた50年代ムード音楽や電子音楽、特に「エキゾチカ」や「スペースミュージック」など。
主なサブジャンル:50年代米国で流行したムード音楽(イージーリスニング、エキゾチカ等)、電子音楽(スペース・ミュージック)、その他諸々
1995年2月15日発売『モンド・ミュージック』(リブロポート社)
モンドミュージック
デジタル大辞泉 「モンドミュージック」の意味・読み・例文・類語
モンド‐ミュージック
《〈和〉mondo〈イタリア〉+music》ムード音楽・イージーリスニングミュージックなど、従来軽視されてきた匿名性の高い音楽の中に、マニアが珍奇さ・エキゾチシズムといった要素を見いだし、ジャンルとして命名したもの。
[補説]mondo(世界・地球)は、イタリア映画「世界残酷物語」の原題Mondo Caneから。
(出典)小学館デジタル大辞泉、コトバンク
つまり昭和レトロなオタクのラウンジミュージック。
ちなみに、90年代前半の東京では渋谷系、クラブミュージック、アシッドジャズ、ラウンジ等が流行。例えばラウンジは渋谷宇田川町のオルガンバー発祥、(1992/1993年頃)から渋谷系が流行、また
レトロというのは筆者の個人的解釈。で原典『モンドミュージック』ではことさら
昭和レトロ昭和30年代つまり1950年代後半から1970年代頃(ギリ80年代)までのオタクのBGMである。
ヤン富田、細野晴臣、鈴木●一郎
(ヲタの極み音め※)
※ヲタクの極み的な内角高め(もしくは外角低め)の音楽
1990年代に日本の渋谷系の裏でひっそりごく一部の愛好家に隠密裏に流行していたエキゾチカ/スペースミュージック/カルト歌謡曲などの「へんてこ音楽」愛好家のムーブメント?
モンドミュージック年表
まずは事実情報として時系列を抑えておこう。
1950年代~1990年代米国の独身貴族(今でいうヲタク)に流行したエキゾチカ/スペースミュージック/カルト音楽など。
(つまり2000年代Z世代でいえばredditのオタスレで話題になるようなマニアックな音楽。もしくはビッグバンセオリーで話題になりそうな音楽。)
モンドミュージック語源
1962 Mondo Cane(1962年イタリアのドキュメンタリー映画(邦題)『世界残酷物語』
“Mondo”なmoodの音楽
モンドミュージックのサブジャンル
はっきりいってモンドミュージックはヤン富田さんと細野晴臣さんと鈴木〇さんである。
自分らモンド読者はその巨人の後追いで聴いてる小僧に過ぎない。
エキゾチカ
細野ファンご承知の「エキゾチカ3部作」で知られるジャンル。
基本的には50年代の映画音楽などでエキゾチックなムード音楽など。
(ちなみに、YMOファンはご承知の通りだが、もともとYMOは〇〇のファイヤークラッカーを電子音楽でコピーしたところから始まる。つまりYMOはエキゾチカのテクノ版バンドとして始まった。)
※話が一気に現在に飛ぶが、筆者は個人的にシティポップの次は渋谷系を少しかすりつつモンドミュージックが流行ると思っている(希望的観測)。
2010年代の海外のシティポップブームはvaporwaveやlo-fi hiphopなどにおける2000s前後に海外で放送された日本の80s90sアニメがルーツ。
しかしもう飽きた。
もっと刺激はないか?
年代順で行けば次に来る候補に渋谷系も上がる。
だが、渋谷系のシャレオツなイメージはもともと60sフランスやロンドンなどがルーツ。
それは彼らにとって単なる懐メロ。つまり日本人にとってのGSのようなもの。
それはそれでもちろん多少はクルだろう。子供の頃に親の影響で聴いていれば懐かしいはず。
音楽がリバイバルヒットするポイントは中二までの音楽体験。
もしミレニアム世代の子供たちが中学2年生頃すなわち2000年生まれの子が2014年までに聴いたり体験した音楽やエンタメでなければなかなか刺さりにくい。
「中二までの音楽体験」はキーポイント。どの世代にも当てはまる。
1990年生まれなら2000年前後がなつかしい。
1980年生まれなら1990年前後がなつかしい。
1970年生まれなら1980年前後がなつかしい。※筆者はこの辺。
1960年生まれなら1970年前後がなつかしい。
1950年生まれなら1960年前後が懐かしい。
1940年生まれなら1950年前後がなつかしい。※細野さんは団塊世代だがざっくりこの辺
細野さんもインタビュー等で常々おっしゃっているがエキゾチカにしろ子供の頃のラジオ体験。
スペースミュージック
落書き
はっきりいってモンドミュージックの定義はナンセンスである。なぜなら既存の音楽ジャンルの定義的なものを拒否することがモンドミュージックにおけるモンド感でもあるから。
だが、それじゃあいつまでたっても「モンドミュージックってなに?」といういたいけな小学生たちの素朴なギモンにこたえられないだろう。
というわけで、筆者はたんなるいちモンドミュージックファンまたは『モンドミュージック』という本の1読者にしかすぎないが、あえてひとことでモンドミュージックを定義してやろうと思う。
「モンドミュージックとはズレを楽しむ音楽である」
ここで「へんてこ音楽」にするか「ズレを楽しむ音楽」にするか迷ったが筆者もとい拙者の考えでは「へんてこ」より「ズレ」の方が本質に近いと考える。
すでにここに食いついてくる読者諸氏はお気づきのとおり「へんてこ」の定義は曖昧である。なにをヘンテコとするか?社会通念上はクラシックやポップスなどのヒット曲など基本的に大勢の人に受け入れられた普遍性のある音楽が「まっとうな音楽」とされるだろう。
だが、クラシックは実は相当へんてこな音楽だったという見方もできる。
16世紀~18世紀頃の西欧で、宮廷音楽や貴族などの上流階層や教会音楽など社会階層的には支配層に好まれてはいたが21世紀の民主主義的価値観で見直せば、一握りのブルジョア層が宮廷で楽しまれておられた音楽。つまりクラシック音楽は16世紀~18世紀頃の西欧で「ひっそりごく一部の愛好家に隠密裏に流行していた」音楽という見方もできよう(※個人の感想です💦+ちなみに筆者はクラシック音楽も大好きなので批判などではないのでその点は誤解なきよう)。
すると、現在まっとうな音楽と思われているクラシックも昔はけっこうへんてこ音楽だったという視点もうまれ、クラシック音楽もモンドミュージックか、という話になる。
わかりやすい例はサンサーンスだろう。
だが、自分がここで申し上げたいのはバッハやベートーベンなどのバロック系も相当モンドな気がする・・・ということなのだがまあその辺は裏のウラはオモテというちょっと初心者にもわかりにくい話なのでおいておこう。