暦は秋。お彼岸を過ぎると里山もようやく秋めいて、音楽でも秋らしい曲が似合うくる季節。秋の歌といえば、まずは秋の定番曲が聴きたい方もおられるのでは?
ここでは、歌謡曲や童謠など秋うたの定番曲から、曲名に「秋」を含む歌で多くの歌手の方にカバーされた曲のランキング順や、昭和歌謡やJ-POPなどの人気の秋ソングをご紹介。
秋の歌(定番曲)第1位「秋桜」山口百恵
1977年10月1日発売「秋桜(コスモス)」山口百恵(19thシングル、作詞・作曲:さだまさし、編曲:萩田光雄、CBSソニー)
秋の歌(定番曲)1位(カバー数:約44曲!?)秋ヒット曲「秋桜」山口百恵 「♪淡紅の秋桜が秋の日の…」
※おそらく皆さんの予想通り、秋の歌定番曲の第1位は山口百恵さんの「秋桜」。しかもカバー曲の数が半端ない!その数なんと約44曲(2020年調査時点)。2位以下を圧倒的な差で凌駕しダントツのカバー曲数ランキング1位。
日本の歌姫のひとり山口百恵さんの当時18歳とは思えない大人びた印象もさることながら繊細で圧倒的な表現に何度聞いても心動かされる歌唱。
百恵さん自身熱望したという名シンガーソングライターさだまさし氏作詞作曲の秋桜(コスモス)の花をモチーフにした母娘の情愛が詩情豊かに描かれた原曲。
クラシックのような静謐さで演奏される名編曲家荻田光雄さんの楽曲。難しいイントロをこともなげに弾いた羽田健太郎さんのピアノなど演奏家たちの名演。秀逸なレコーディング・エンジニアを支えた瑞々しいサウンドワーク。名音楽プロデューサー酒井政利氏をはじめレコード会社関係者の縁の下の力、など。昭和52年(1977年)日本の新しい歌謡曲に注がれた音楽人の青春と邂逅から生まれた至高の邦楽バラード作品。
結婚式をひかえた母と娘はもちろん、日々を懸命に生きる市井の人々まで。多くの日本人の秋時間をふと立ち止まらせ、聴く人の感情や琴線をふるわせる。
日本の秋を彩り、日本人の心に宿る。もはや心の原風景ともいえそうな、日本の秋の歌の定番曲「秋桜」山口百恵(1977)。
1977年12月5日発売『花ざかり』(13thアルバム)収録。
2006年(平成18年)「日本の歌百選」にも選出。
(カバー曲)「秋桜」さだまさし♪ほか超多数(40名超)
※作者さだまさしさんのセルフカバーはほぼフォークギターだけのシンプルな弾き語り。だが、言葉が出なくなるほどの名歌唱。ごく個人的な感想で恐縮だが、自分は中高生の時に「防人の歌」を聞いた時のような感覚に陥った。
秋の歌(定番曲)第2位「ちいさい秋みつけた」童謡
1955年(昭和30年)発表「ちいさい秋みつけた」童謡※伴久美子、ボニージャックスほか(作詞:サトウハチロー、作曲:中田喜直)
秋の歌「定番曲」2位(カバー数約12曲) 「ちいさい秋みつけた」
”だれかさんが だれかさんが だれかさんが みつけた 小さい秋 小さい秋 小さい秋 みつけた”(歌詞一部のみ引用)というやさしいリくりかえしことばではじまるシンプルでくちづさみやすいリフレインで始まる戦後日本の秋の童謡を代表する抒情歌。
作詞のサトウハチロー氏は自宅の庭のハゼの木の紅葉を見て歌詞を考案。
作曲の中田喜直氏は昭和20年代に三鷹で暮らし井の頭池を散策中にメロディーが浮かんだ、とも。東京都三鷹市「井の頭恩賜公園」井の頭池のほとりには『ちいさい秋みつけた』歌碑もある。
もとは昭和30年NHK『秋の祭典』で発表された童謡。
(参考)童謡「ちいさい秋みつけた」(略年表)
1955年(昭和30年)「ちいさい秋みつけた」初出。NHK特番『秋の祭典』楽曲として作曲。童謡歌手伴久美子さんがソロ歌唱。番組内限定の曲であり、当初はレコード化されなかった。
1962年(昭和37年)4月10日発売『サトウハチロー童謡集』(キングレコード)収録。ボニージャックスの歌唱でレコード化。同昭和37年末『第4回日本レコード大賞』童謡賞受賞。
1965年(昭和40年)小学校・中学校・高校の音楽の教科書に掲載。
2006年(平成18年)「日本の歌百選」(文化庁、日本PTA全国協議会)選。
(カバー曲)
「小さい秋みつけた」ダ・カーポ♪ほか多数
(備考)伴久美子(ばんくみこ)さんは東京都荒川区出身のコロムビア童謡歌手。「月の沙漠」童謡(伴久美子)♪「猫踏んじゃった」など多くの童謡ヒット曲でご活躍。1986年44歳の若さでご逝去。
秋の歌(定番曲)第2位*「思秋期」 岩崎宏美
1977年9月5日発売「思秋期」岩崎宏美(11thシングル、作詞:阿久悠、作曲: 三木たかし、編曲:三木たかし、ビクター)
秋の歌「定番曲」2位(カバー数約12曲)「思秋期」岩崎宏美 「♪足音もなく行き過ぎた 季節を ひとり見送って….」(歌詞一部引用)
※サビのフレーズ「♪青春は忘れもの…過ぎてから気がつく」は、個人的に阿久悠・三木たかし両先生の楽曲を稀代の歌姫岩崎宏美さんが情感豊かに歌い上げたいつまでも心に残る70年代青春歌謡曲の宝物。
1981年12月5日発売『EXCEL ONE 岩崎宏美のすべて』※「思秋期」(編曲:萩田光雄)♪別テイク収録※こちらはクラシカルなイントロで始まる曲調。
秋の歌(定番曲)第4位「里の秋」童謡
秋歌定番曲 4位 カバー曲数約(11)「里の秋」 童謡・唱歌(作詞:斎藤信夫、作曲:海沼実) 「しずかなしずかな 里の秋…..」
1948年(昭和23年)発売『里の秋』川田正子♪(作詞:斎藤信夫、作曲:海沼實、日本コロムビア)※童謡歌手時代の川田正子さん歌唱。
2007年(平成19年)「日本の歌百選」
倍賞千恵子♪さんなど多くの歌手にカバーされている。
秋の歌(定番曲)第5位「昭和最後の秋のこと」桂銀淑
秋歌定番曲 5位 カバー曲 約(4)「昭和最後の秋のこと」桂銀淑(作詞:阿久悠、作曲:浜圭介、編曲:川村栄二) 「貧しさもつらくない 四畳半にも夢がある……」
1999年7月1日発売「昭和最後の秋のこと」は晩年の阿久悠先生作詞の曲。森進一さんらとの競作。演歌界では約4人の歌手にカバーされるなど昭和歌謡の秋歌として大切にされている名曲。
秋の歌(定番曲)第5位*「秋止符」アリス
秋歌定番曲 第5位*同数 カバー曲数(4)1979年6月5日発売「秋止符」 アリス(作詞:谷村新司、作曲:堀内孝雄、編曲:石川鷹彦) 「左ききのあなたの手紙 右手でなぞって真似てみる….」。『ALICE VII』収録曲。
(カバー曲)
1979年9月21日発売「終止符」横山みゆき
1981年発売「終止符」研ナオコ※「ボサノバ」B面
1983年9月21日発売「終止符」高田みづえ♪『あの日にかえりたい』
1991年「終止符」麻生詩織『帰りたくない夜』収録
1992年「終止符」細江真由子(みずき舞)2ndシングル
2001年「終止符」市井紗耶香・中澤裕子・堀内孝雄『FOLK SONGS』収録
2009年「終止符」荻野目洋子『Song&Voice』収録
2016年「終止符」柏原芳恵『アンコール3』収録
秋の歌(定番曲)第7位「秋冬」高田みづえ
秋歌定番曲 7位 カバー曲数(3) 秋ヒット曲:「秋冬」中山丈二(作詞:中山丈二、作曲:堀江童子)「しゃれた日焼けに 涙が流れる あー 秋かしら……」
(カバー曲)
1984年1月1日発売「秋冬」高田みづえ、ほか(参考)ウィキペディア-秋冬
秋の歌(定番曲)第8位「真赤な秋」 童謡
秋歌定番曲 7位 秋ヒット曲 1963年(昭和38年)10月12日発表「真赤な秋」童謡(歌唱:ボニージャックス) (作詞:薩摩忠、作曲:小林秀雄 )※NHK『たのしいうた』(参考)池田小百合 なっとく童謡・唱歌「まっかな秋」
「♪真っ赤だな 真っ赤だな つたの葉っぱが真っ赤だな もみじの葉っぱも真っ赤だな」
カバー:鈴木祥子さん他多数
秋の歌(定番曲)第9位「風は秋色」松田聖子
秋歌定番曲 9位 秋ヒット曲 「風は秋色」松田聖子(作詞:三浦徳子、作曲:小田裕一郎)
「La La La……Oh, ミルキィ・スマイル あなたの腕の中で旅をする…..」
備考(定番曲とは?)
※秋歌定番曲のカバー曲については調査時点(2020年頃)であり変更の場合あり。なお、ここでは曲名に「秋」を含む曲から選出。もっと広い意味での定番曲(いわゆる秋の人気ソングなど)では「楓」スピッツ(カバー数約16)などJ-POPの秋歌カバー曲もあろうかと思います。どうぞあしからず。
「定番曲」とは?
ところで、よく「定番曲」といわれますが、定番曲とは何でしょう?
なんてチコちゃんの素朴なギモンのようですが、意外と「定番曲」の定義はあいまい。
おそらく一般的に定番曲といえばヒット曲のなかでもとくに大ヒットした曲やカラオケでよく歌われる曲を定番曲ということが多いかもしれません。
ただ、「定番曲」は英語で「スタンダード・ソング(Standard song)」という点から連想してカバー曲が多い歌ではないのかな、と。
「定番曲」は英語で「スタンダードソング(Standard song)」
「スタンダードソング」といえばまずジャズのスタンダード曲を思い浮かべる方も多いでしょう。
ジャズ・スタンダードとはいわばカバーソング。古くは1900年代初め頃、日本では明治時代の曲などが長く歌いつがれている曲。そんな連想から、当ブログでは「定番曲とはカバー曲が多いヒット曲や隠れた名曲」と解釈。
(むろん諸説あり。筆者もふだんは別に気にしてなかったので、この「定番曲≒カバー曲の多い曲」というのはあくまで個人の感想です。)
(余談)定番曲とヒット曲の違い?
普段は自分も深く考えずに定番曲と書いたりしていますが😅
ヒット曲と定番曲の違いでいえば、上述のとおりヒット曲の中でもさらにカバー曲が多い歌を定番曲
ただ、カバー曲にはかならずしもヒット曲ではないものの歌手やファンに愛されている曲も。例えば、今回のランキングでは童謠や「昭和最後の秋のこと」という曲は演歌界では多くの歌手にカバーされた曲なども入るのかも。
ヒット曲といえば基本は音楽チャートが指標の目安となります。ただ、音楽チャートも発表年代の違いもありヒット曲の定義や解釈についても諸説あり。ただ、以前からの管理人の悩みは過去の1966年以前の邦楽チャートが部分的にしか存在しないという基本統計資料不足の問題をどう解釈するか。けっこう悩ましいところ(ゆえにヒット曲の記事もその辺で途中。曲名だけならSP盤全シングル曲掲載資料なども所有しているので調べはつくのですが、ヒット曲といってもチャートという指標はないので紅白出場曲などなのかなと思案中)
秋の歌(定番曲)昭和歌謡
秋の歌(定番曲)として上記ではまず歌手の方にカバーされ発売されている曲などを紹介しましたが、秋の定番曲といえば、もちろん多くのリスナーの方に聴かれカラオケなどで愛唱されている秋の歌を思い浮かべる方もおられるはず。
こちらでは昭和歌謡の秋歌からカラオケ人気曲などをピックアップ。
「コスモス街道」狩人(1977)♪
「September」竹内まりや(1979)♪
「風立ちぬ」松田聖子(1981)♪
「もう逢えないかもしれない」菊池桃子(1985)♪
「木枯らしに抱かれて」小泉今日子(1986)♪
「秋のindication」南野陽子(1987)♪
「秋からも、そばにいて」南野 陽子(1988)♪
、など。(随時更新予定)
秋の歌(定番曲)J-POP
こちらではJ-POPの秋歌からカラオケ人気曲などをピックアップ。
「楓」スピッツ(1998)♪
「奏」スキマスイッチ(2004)♪
「茜色の約束」いきものがかり(2007)♪
、など。(随時更新予定)
「秋の山唄」民謡
「秋の山唄」民謡♪(宮城県遠田郡涌谷町)もともと地元では草刈唄と呼ばれていた唄を尺八奏者で明治・大正期に民謡の発展に貢献(大正9年10月開催第1回全国民謡大会など)された後藤桃水が「秋の山唄」としてレコードに吹き込んで全国的に知られるようになった、とのこと。
あとがき
ここでは童謡や歌謡曲などで多くの歌手の方にカバーされた定番曲ランキング(邦楽カバー曲数順BEST9)や昭和歌謡やJ-POPなどの人気ソングなどご紹介いたしました。
(もちろんざっくり秋の定番曲といわれる歌謡曲やJ-POPの名曲はたくさんありますが、)ここまでは秋の定番曲をカバー曲の数でランキング。秋の歌「定番曲」ベスト9を選曲。
定番曲(英語 Starndard song)をジャズなどのスタンダードにみたて、カバー曲の数順にランキングを調査。
結果はやはり高齢者の方々や保育園の子供、先生方にも親しみのありそうな日本の秋の歌。
里山など日本人の秋の原風景を伝えてくれる定番曲の良さにふれ、あらためて日本の秋の歌を聴き、歌い継ぎ、よき伝統をつないでいきたいと思う次第。
なお、秋の歌についてはほかにも関連記事などでご紹介しております。よかったらあわせてごらんください。
(関連記事)
秋の歌 jpop
秋の歌 歌詞
