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【音楽の英語】クラシック音楽(英語 classical music)と「16世紀から20世紀初頭までのクラシック音楽」(英語 Common practice period)」の違い

音楽(Music)

「クラシック音楽」を英語でいうと”Classical music”が一般的。

ただ、おもに米国英語では、「16世紀から20世紀初頭までのクラシック音楽」をさす英語として”Common practice period”という用語が使われる場合もあります(例:英語版wikipedia-Common practice periodなど)。

ここでは、この”Common practice period”という音楽学や音楽史などの音楽用語について調べたことをメモしています。

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クラシック音楽の英語は?

まず、クラシック音楽は英語で Classical musicといいます。

これは広い意味でのクラシック音楽(Classical music)、すなわち西洋古典音楽(英語 Western classical music※)または西洋芸術音楽(Western art music) をさすときに使われる英語。
(※文中リンク 英語版wikipedia-classical music)

広い意味でのクラシック音楽とは、例えば、6世紀頃のグレゴリオ聖歌など「中世西洋音楽」における西洋芸術音楽に分類される一部の音楽から、20世紀初頭のフランスの印象主義音楽あたりをさすことがあります。

一方、せまい意味での「クラシック音楽(Classical music)」は、16世紀(1550年頃)から20世紀初頭(1900年頃)のバロック音楽(Baroque musice)、古典派音楽(Classic music)、ロマン派音楽などに当たる音楽。

Classic Music か Classical Musicか?

クラシック音楽の英語
(○)Classical Music
(×)Classic Music

ところでクラシック音楽の英語はClassic Music か Classical Musicか?

中学生英語の問題みたいですが一応おさらいしておきましょう。

まず答えから書くと「Classical Music」が一般的な英語。

和製英語ではクラシック・ミュージックとカタカナで書いたりもしますが英語でクラシック(classic)というと「~の典型」という意味もあり、クラシック音楽は「古典的」という意味の形容詞であるクラシカル(Classical)をつかうことがポイントといわれています。

ここまではクラシック音楽を英語でいうときの基本的な英単語のおさらいでした。

Classical music の Common practice period とは?

Common practice periodの使用例
https://en.wikipedia.org/wiki/Classical_music

(図表)Common practice periodの使用例

さて、この記事の本題はタイトルにも書いたように”Common practice period”という英語について。

まず、結論からいうと、この英語の意味は、16世紀頃から20世紀初頭までの時期の西洋クラシック音楽(狭義の「クラシック音楽」)をさす米語だそうです。

「この時期、音楽の基準と体系。当時の音楽の実践、概念、言語によってつくられた」ことから”Common Practice Period”とよばれています。

The Common Practice Period was a period of classical music in Western Europe, which spanned 3 centuries from approximately 1600 to 1910. In this period, standards and systems of music were created by the musical practices, concepts, and language of the time.

https://study.com/academy/lesson/common-practice-style-developing-tonal-harmony.html

「米語」つまり主にアメリカで使われているクラシック音楽の時代区分についての音楽史(音楽学など)での英語の用語。フランス語版やドイツ語版そして日本語版のページは作成されていなかった(閲覧時2019年12月14日時点)

ただ、英語版Wikipediaなどによると、この聞きなれない用語が普段私達日本人が使っている「クラシック音楽」という意味で、最近のアメリカなどの音楽史の時代区分などではかなり頻繁に使われている様子。

お時間があれば英語版wikipediaのクラシック音楽(Classical music)のところをご確認頂ければと思いますが一例をあげておきます。例えばClassical musicのHistoryという項目の図表では、日本語でいうところの広義の「クラシック音楽」の時代区分としても使われています(上の図表を参照)。この図表は英語版wikipediaでは他のページでもClassical music 関連項目の全てで使用されていることからほぼ定着している印象を受けます。

ついでに上の図表を補足しておきます。
日本語のクラシック音楽用語では通例「西洋中世音楽」とよばれる時期をさす英語は Early period(初期)。

17世紀から20世紀初頭のバロック音楽・古典派音楽・ロマン派の「クラシック音楽」が Common practice period(コモン・プラクティス・ピリオド)。

19世紀末(1890年代)から20世紀および21世紀のいわゆる「近代音楽(Modernist era)」以降は、そのまま Late 19th -century to 20th- and 21st-centuriesと年代を表す英語で表記されています。

Common practice period の由来・語源

イタリア語版wikipeidaによれば、これはアメリカの作曲家で音楽理論家や音楽教育でも著名なウォルター・ピストン(1894-1976)による用語で、1941年に作られた用語だそうです。

(ちなみにウォルター・ピストン氏は『対位法』『管弦楽法』『和声論』などの音楽理論書でも著名。詳しくは以下の参考記事などをご参照。)

『ピストン 対位法 分析と学習』https://www.ongakunotomo.co.jp/web_content/senmonsyo/03.html

約1600年から1900年までの約300年、バロック、古典主義、ロマン主義を含む。重要な作曲家としては、ヴィヴァルディ、ヘンデル、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなどを含むとのこと。

つまり日本でもおなじみの「クラシック音楽」ですね。

Common practical periodの和訳

ただ、個人的に少し困ったのがこの英語を翻訳するとき参考となりそうな和訳がなかなかみつからなかったこと。

国会図書館のHPで論文なども検索してみたのです。日本語では”Common practice period”を訳した例はみあたりませんでした。

よって、ここではとりあえずカタカナで「コモン・プラクティス・ピリオド」と書いておきます。

これは直訳すると共通練習期間。練習という文言はあまり芸術音楽ぽくないとなれば共通修練期間や共通修養期間などと置き換えてもいいかもしれません。もしくは意訳してクラシック音楽の様式形成期などというのかもしれません。ただ、いずれにせよ確たる訳語がこれまで存在していなかったようで出典元を探したのですがみつかっていませんのでカタカナで表記しておく次第です。

まとめ

以上をかんたんにまとめると以下のとおり。

  • 英語圏(おもにwikipedia.orgが所在する米国?)では日本でいう16世紀から20世紀初頭の「クラシック音楽」を”Common practice period”ということがある。
  • 日本語のクラシック音楽の時代区分の名称と、英語版wikipediaの時代区分の名称にはいくつかのズレが生じている。

ちなみに、もちろん英語版wikipediaの事例だけでこれが実際の英語圏で定着しているとはいいきれません。
ただ英語版wikipediaにはreferenceとして書籍やもかなり多く(reference 80、その他書籍なども数十件)あり、なにより用語の発案者が音楽理論でも著名なウォルター・ピストン氏であることなどから根拠のない造語の類ではないようです。

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