ヴァナキュラー音楽 (英語: Vernacular music )とは、ポピュラー音楽やフォーク音楽などの日常的な音楽のこと。芸術音楽(英語:Art music)と比較した場合により親しみやすいという意味で(あくまで芸術音楽との)対義語という部分的な概念として(主に英語圏で用いられる)音楽用語。
ヴァナキュラー音楽 (英語: Vernacular music )※主な音楽ジャンル(例):
・サーカス音楽 (英語: Circus music )
・フォークミュージック (英語: Folk music )
・ブルース (英語: Blues )
・カントリーミュージック (英語: Country music )
・エレクトロニックミュージック (英語: Electronic music )
・ヒップホップミュージック (英語: Hip hop music )
・ジャズ (英語: Jazz )
・ポップミュージック (英語: Pop music )
・プログレッシブミュージック (英語: Progressive music )
・サイケデリックミュージック (英語: Psychedelic music )
・ソウルミュージック (英語: Soul music )
(出典)英語版Wikipedia-Music(category)/Vernacular music
ヴァナキュラー音楽 (英語: Vernacular music )
以下、上記要約の補足として、筆者の英文Wikipedia翻訳ノート。
ヴァナキュラー音楽 (英語: Vernacular music )とは、ポピュラー音楽やフォーク音楽などの日常的な音楽のこと。芸術音楽(英語:Art music)と比較した場合により親しみやすいという意味で(あくまで芸術音楽との)対義語という部分的な概念として(主に英語圏で用いられる)音楽用語。(英語: Vernacular music is ordinary, everyday music such as popular and folk music. It is defined partly in terms of its accessibility, standing in contrast to art music.[1] (参考)英語版Wikipedia-Vanacular music※(筆者注)英文説明を元に筆者が大幅に意訳。
ヴァナキュラー音楽の用例(例)
音楽の歴史(英語 History of music):
・芸術音楽(英語 Art music)
・ヴァナキュラー音楽(Vernacular music)
・楽器(英語 Musical instruments)
(参考)英語版wikipedia-vernacular music🔗
※英文記事巻末の「Music」のカテゴリーの中項目「Vernacular music」など。
このヴァナキュラー(vernacular)という言葉は個人的にはあまりなじみがないように思うが、実は音楽関係でも英語版wikipediaなどをみていると時々出てくる。
冒頭のとおり英語版Wikipediaを参考に筆者が大幅に意訳した説明文を載せたが、特にあくまで芸術音楽の対義語として音楽用語としても限定的な用語というニュアンスにご注意。
個人的にヴァナキュラー音楽という用語は上述のとおり英語圏(英語版wikipedia)でも限定的な音楽用語という印象があるのでこれ以上深堀する必要性も薄い気はするがどうやら対応する日本語版ウィキペディア記事がないようなので一応以下に同é碁盤Wikipediaの仮訳を載せておく。
“ヴァナキュラー音楽は、特に音楽商業の文脈において、非ヴァナキュラー音楽と重なる場合があり、非ヴァナキュラー音楽の伝統の発展に影響を受けることが多い。[2] (英語: Vernacular music may overlap with non-vernacular, particular in the context of musical commerce, and is often informed by the developments of non-vernacular traditions.[2] )”
(筆者注)意味不明。無視で良い。何も言っていないのと同じ。要は芸術音楽とヴァナキュラー音楽は相互に影響する。なんて当たり前の話。
“レコードの販売は、ポピュラー音楽やヴァナキュラー音楽のスタイルに対する文化的嗜好を広める上で大きな役割を果たした。[3] (英語: The sales of phonograph records played a dominant role in spreading a cultural taste for popular and vernacular music styles.[3] )”
(筆者注)意味不明。無視で良い。レコードがヴァナキュラー音楽やポピュラー音楽の普及に貢献した。クラシックだってなんだってそうだろ。xxか。
いずれにせよ普段は綿密に出典を明記して素晴らしく質の高い記事を提供してくれる英語版Wikipediaの音楽関連記事でもこのありさま(失礼😅)。つまり英語圏でもあんまり定着しとらんのだろう。ただ概念的には「芸術音楽(Art music)」との対義語的な言葉として語義に期待する役割は大きいが用語としておそらくまだ他に良い言葉が見当たらないのかもしれん。(個人的には普通に大衆音楽(Popular music)で良いのではとも思うが。テクニカル的に確かにポピュラー音楽といえばおおむね20世紀以降のポピュラー音楽を差すのが通例であり、そことの用語の重複をさけるためになにかしら別の言葉を探しておかないと具合が悪い、ということかと思う。)
関連項目 (英語: See also )
ダンスミュージック (英語: Dance music )
ローカルチャー (英語: Low culture )
ヴァナキュラー音楽センター (英語: Vernacular Music Center )
とまあ、間にずいぶん落書きを挟んでしまったが。「ヴァナキュラー音楽(英語 Vernacular music)」という用語の名誉のために補足しておくと音楽史のトピックとしてはまさに今後も研究の余地がありそうなテーマなのだろう。なにしろ英語版Wikipediaの音楽カテゴリーの音楽史(History of music)では10の主要トピックのひとつ(9)いわば音楽史の第9章的な位置づけ。とくに現代まで続くポピュラー音楽をすべてを包括するという点では、おそらく音楽の歴史でも最も大きな部分を占める用語である。
音楽の歴史: History of music:
1 先史時代の音楽 Prehistoric music
2 古代の音楽 Ancient music
3 ダンス音楽 Dance music
4 軍楽 Martial music
5 宗教音楽 Religious music
6 聖書の音楽 Biblical music
7 世俗音楽 Secular music
8 芸術音楽 Art music
9 ヴァナキュラー音楽 Vernacular music
10 楽器 Musical instruments
まだ、英語版WikipediaのMusicカテゴリーではおそらくごく一部の主な例としてだろうが以下のような音楽ジャンルが例示されている。
ヴァナキュラー音楽 (英語: Vernacular music )※主な音楽ジャンル(例):
・サーカス音楽 (英語: Circus music )
・フォークミュージック (英語: Folk music )
・ブルース (英語: Blues )
・カントリーミュージック (英語: Country music )
・エレクトロニックミュージック (英語: Electronic music )
・ヒップホップミュージック (英語: Hip hop music )
・ジャズ (英語: Jazz )
・ポップミュージック (英語: Pop music )
・プログレッシブミュージック (英語: Progressive music )
・サイケデリックミュージック (英語: Psychedelic music )
・ソウルミュージック (英語: Soul music )
(出典)英語版Wikipedia-Music(category)/Vernacular music
ちなみに、ヴァナキュラーの語源はラテン語のヴァナキュラス(ラテン語:vernaculus)とされる。
(個人的にはこのラテン語由来の語源の是非も少し気になるところだが。奴隷由来の用語なのでなんだかちょっと…もっといい用語なかったのかと(-_-;))
果たして芸術音楽との対立概念を表す音楽史の用語が英語圏では今のところ「ヴァナキュラー音楽(Vernacular music)」と呼ばれているということは一応メモしておこうかと思った次第。
(なおご承知の通り「芸術音楽」との対立概念やポピュラー音楽などを包括する音楽史の用語は日本語でも様々な音楽史関連の著作や音楽年表などでも言及されている。一般的には「大衆音楽(英語 Popular music)」が芸術音楽(英語 Art music)の対義語として挙がる。他にも多くの類似の音楽用語もあるだろう。ここではあくまで英語版Wikipediaの説明にそう書かれていたという趣旨でメモしているのでお含みおき願いたい。)
ヴァナキュラー(英語 vernacular):
ヴァナキュラー(英語 vernacular)という英単語の意味は、1)その土地の(言葉)、(転じて)現地語など、2)土着の、3)世俗の、俗な、といった意味。
※筆者注:なお、ヴァナキュラー音楽(英語:Vernacular music)という訳語はあくまで仮訳。ここで筆者がヴァナキュラーというカタカナで記載しているのは概ね2014年度頃から開催されておられる立命館大学国際言語文化研究所ヴァナキュラー文化研究会などの用例を参考としている。
「ヴァナキュ ラー研究」と検索すると、どうやら2010年代頃から民俗学などではフォークロアに代わる用語としても注目されているらしい。辞書的にはオックスフォード辞書などの辞書的な意味では、第一義的に現地語すなわち方言などの言葉という用例が多い。
他にも比較言語学や比較文化、建築史などでのちなみにヴァナキュラー(vernacular)の語源はラテン語のヴァナキュラス(ラテン語:vernaculus)で 意味は「主人の家で生まれた奴隷」あるいは「その土地で生まれた 人」という(参考:『ヴァナキュラー研究とは何か』
Vernacular musicの訳語は定まっていない。
(例)Vernacular musicの翻訳の例:
「通俗音楽(vernacular music)」※中国語版ウィキペディアの対訳。
「郷土音楽」Google翻訳など。
「在地音楽(vernacular music)」『環太平洋・間アジア視点から近代日本大衆音楽史を読み直す』2019,大阪大学、など。
「民衆音楽(vernacular music)?」筆者仮訳
ヴァナキュラー音楽の意味的には芸術音楽との対義語ということで(世俗的な)ポピュラー音楽や(郷土の)民俗音楽などの総称。ということでなんとなく意味はわかりそうだが、これまで日本の音楽史関連の資料でもしっかりした訳語が定着してこなかった曖昧な音楽用語なのだろう。
個人的には、「民衆音楽」と仮訳している。
通俗、郷土、在地・・・うーんどれもしっくりこないしわかりにくいので「芸術音楽(英語 Art music)」との対義語が「大衆音楽(英語 Popular music)」という一般的な英語翻訳をベースに、通俗・郷土・在地などの土着性や地域固有という概念部分を「民」という言葉に置き換えた翻訳例である。(もちろんここでの「民」は『三国志』劉備玄徳の「民(たみ)」という言霊を込めている。うむこれが伝わるかは別として。とりあえず個人的にはヴァナキュラー音楽と表記してたぶんわかりにくいので補足で「民衆音楽(仮)」という具合に😅)
(ここまで書いておいて僭越ながら小生はあくまでただの音楽リスナーで個人的に音楽史に興味はあってつらつら駄文を書いてはいるが学会などに所属するような研究者の立場ではないので「だろう」と語尾を濁すことをお許しいただきたい。不遜なつもりはなく多少はネットで論文等も検索してみた。
最近では「在地音楽(vernacular music)」という訳語も一例として挙がっているようだ。
(ただ個人的には申し訳ないがこの訳語も正直しっくりこない。なぜなら「在地」というおそらく土着性や郷土性といったローカル概念はむろんヴァナキュラー概念の2本柱の1つだが、いっぽうでポピュラー音楽などの世俗性もおそらく概念的には2本柱の1つとして無視できないだろう。
そこにフォーカスとして掘り下げたいという研究はそれはそれで研究トピックなのだろう。そこに何らコメントするものではない。研究テーマ自体はさらに野心的で興味深いところだ。
ただ、ヴァナキュラー音楽といったとき、いっぽうでポピュラー音楽などの世俗性もおそらく概念的には2本柱の1つとして無視できないだろう。
ポピュラー音楽といえばご存じのとおり20世紀米国ポピュラー音楽が世界で(多少の内製化はあるも)基本的には郷土性を超越して国際的に流行した。個人的には戦前のキューバ音楽も20世紀米国音楽と同等以上にポピュラー音楽に影響をあたえたヴァナキュラー音楽の一大ジャンルだと思う。こちらはおそらく一般にはややなじみは薄いだろうがキューバ革命までは米国ジャズ音楽家たちも敬意を表していた戦前の音楽大国。国際性こそ戦前のカリブ中南米およびスペイン語圏ならびに戦前のロマンス語圏(フランス音楽やイタリア米国音楽)さらにはアフリカ、そして日本の戦後歌謡曲にも50年代までのラテン歌謡ブームをへてその後ムード歌謡など名称は変えつつもいわゆる歌謡曲の血肉としてキューバ音楽のエキスを受け継いでいると筆者は信ずるものである。・・・とまあキューバで脱線した。)
やはり申し訳ないが正直「在地」という訳語だけではどうにもこの部分がすっぽり抜け落ちている気がする。
あとがき
いずれにせよ「Vernacular」という英語は翻訳が悩ましい言葉。音楽関係のみならず各分野でも対訳のご苦労が偲ばれるところ。各分野での先行研究などに携わられてきた先人に敬意する次第。訳語に関しては、個人的には当面の結論として先行研究などの用例を参考にカタカナで「ヴァナキュラー」と表記し各分野またはそれぞれの文脈で必要に応じて仮訳や解釈を添えられるのが当面の落としどころかと思う。
というわけでとりあえず当ブログでは「ヴァナキュラー音楽(英語 Vernacular music)」もしくは民衆音楽?という仮訳でお茶を濁したい😅(なにかいい訳語が定着していけば後日また修正ということで(;^_^A)